旅する雲 未知なる空

こんにちは。考えている事をダラダラと綴っています。基本日記。自然体。

【感想】BANANA FISH #24 "The Catcher in the Rye ライ麦畑でつかまえて"

はぁ~~~~~~・・・。

言葉が出ない・・・。頭が追いつかない。

いやね,原作の感想で,「あんな悲しい終わり方」みたいなのを一回チラッと見たことがあったんですが,ということはつまり原作通りのエンディングだったんでしょうね・・・。

 

24話で完結しちゃったよ。先週の自分の言葉を返してください。

 

どうまとめればいいんだろう。

 

フォックスがディノを撃って,権力をほしいままにしようとするが・・・

なんだろう,あんなに恨めしかったディノがいい奴に思える。いい奴というか,悪人としての格が上というのか・・・,いや善悪というより美醜ですかね。上手い表現が見つからない。今までは「ディノがいなければ」と思っていたのに,いざディノがやられて他のやつが出張ってくると,「やっぱりディノの方がいい」と思ってしまう。長年やりあってきた思い,というと変だけれど,どこかしら思い入れみたいなものはあるかもしれない。視聴者目線では思い入れがあるキャラクターだった。うん,視聴者の視点と,登場人物の視点ではまた違うだろうな。

ディノがフォックスに向かって,「己の器の大きさも知らず・・・」と言っていたけど,ここでディノ=賢い悪,フォックス=愚かな悪という構図?がハッキリ感じられました。フォックスが出てきた当初は,誰よりも上手(うわて)に動く厄介なイメージだったんですがね,欲深さが度を過ぎているというか,欲望以外の感情がなくて人間的に醜い。手段を選ばないし,信頼関係などない・・・破滅が目に見えている。

 

オープニング

Save you

Get away from me

Get away from dark nightmare...

こうしてみると,ブランカとアッシュはほとんど対立していないし,ディノもラスボスではなくなったなあ。アッシュと英二がお互いに伸ばした手をかすめて消えていくところは本当に切ない。

石塚運昇氏に感謝を込めて」

本当にありがとうございました。お疲れさまでした。泣きそう。

完結するんだな・・・。

 

仲間の開放へケインとアレックス,アッシュの救出へブランカとシン

アッシュは寝たふりをしたのか,それとも麻酔を打ったが精神力で耐えたのか。耐えられないよな?寝たふりに騙されて ,手下が麻酔を打たなかったのかね。

ブランカは強大な敵として現れ,今は最強の味方。かっけえ・・・。それにしても大柄なブランカと小柄なシンは凸凹コンビだな。

ここらへんのシーンは演出が面白かった。

ブランカとシンがエレベーターを見る→エレベーターからフォックスたちが降りてくる→ブランカたちとは別の階のエレベーターだった

という流れ。分かってはいるんだけど,ハラハラするね。

ブランカは一体どうやって排気口に入ったんだろう・・・。あの体格と服装じゃ無理やろ。両肩の関節でも外したのかな?

 

「メインシステムが何者かに書き換えられたようです」

ディノの生命力・・・アッシュへの執念。ある種の美しさがそこにはある。

 

ヘリポート棟での一部始終

ここが本当に,目まぐるしい展開だった。まず医者に裏切られるフォックス。バナナフィッシュとか忘れかけていたぞ。アッシュがバナナフィッシュのデータを持った医者を見つけ,人質?にしてフォックスの元へ向かうも(違ったかも),医者は当然切り捨てられる。ここからアッシュVSフォックスの戦い。

ブランカがヘリの操縦士を射殺するシーン,かっこよすぎ。思わず「かっけえ・・・」と呟いたほど。チートだよな,この人。

シンも命を顧みない,というわけではないけど,平気で大きなリスクを背負った役をやる。

アッシュVSフォックスは手に汗握る戦いだった。フォックスがやられるのは分かっているんだけど,アッシュがどれほどの傷を負ってしまうのか。フォックスがアッシュに突き刺したナイフ,もし心臓だったら・・・。殺す気だったよな,あの顔は。わざと肩に刺したわけじゃないよな・・・。アッシュもドリルを突き刺すけど,ここらへんは本当に痛々しいシーンだったなぁ。あまり過激な描写はなかったけど,目を細めたくなった。

シンはバナナフィッシュのデータの入ったバッグを見つけて持ち出そうとするけど,建物の爆破に巻き込まれる。あのバッグはどれほどの重量なんだろう。

アッシュはシンにそのバッグを手放せと言う。バナナフィッシュよりシンの方が大事なんだよ。それにバナナフィッシュを利用しようとする者が死んだ今,もうバナナフィッシュはなくても・・・証拠品はなくなるけど,あんな悪魔の薬なんて一切消えた方がいいよ。

と,ここで再びフォックス。といっても,スナイパーがいるから平気だって思っていた。予想通り撃たれるフォックス。しかし撃ったのはまさかのディノ・F・ゴルツィネ。平然と立っているから,「フォックスからの2発は撃たれたふりだったのか?!」とか思っちまった。撃たれたふりってなんだよってね。にらみ合うディノとアッシュ。撃つわけはない・・・ないけど,凄まじい緊迫感。からの,ふらりと建物から落ちるディノ。最後までアッシュを愛していた,愛したまま消えていく。二人は言葉を交わさなかったけど,言い残したことはないと思う。

人質も解放されて,ジェシカとマックスも再会。ジェシカ強い,只者じゃないな。

 

戦いの後

「Congrats, dad」って,軽いなアッシュ。死にかけていたのに,微笑ましい奴だ。

シンと和解するユエルン。というか,シンがユエルンを許し,協力しようと言う。シン,マジでいい奴。懐が深い。ユエルンはもう通常運転のヒステリック。毒・・・。

旅立つブランカとアッシュの会話。ユエルンに対するシンの行動について,アッシュは「あいつはお人好しだからな」と言ったが,アッシュも大概だと思った。アッシュのは味方を切ることをしない優しさで,シンは敵であっても血の繋がりのあるものを切ることをしない優しさ,ということなのかね。

そして英二について。すべては終わった。けど,アッシュは依然マフィアの世界にいて,英二は日本の一般市民。二人は確かに友人だけど,それは思うだけで,実際に接触するわけにはいかない。「思うだけならいいだろ」とアッシュ。そんなの苦しいだろう。ブランカはアッシュに「一緒にカリブに来ないか」と言うけど,アッシュは「あんたの寂しさを紛らわすためか?」と笑って断る。確かにそれもあるだろうけど,単純にアッシュを理不尽な世界から救い出したかったんではないかな。一緒に世を捨てようって。

 

英二

英二がアメリカを発つ日になっても,アッシュは姿を現さない。英二はシンに封筒を託し,「図書館を探してみて」と言う。英二はアッシュの事をよく理解している。英二の言うとおり,図書館で"White Ocean"を読んでいたアッシュ。黒のハイネック姿が,協会にいる神父みたいだった。シンはアッシュを見つけて,英二に会いに行くよう促すけど,動かないアッシュ。せめて伝言はと聞くけど,アッシュは背を向けて無言のまま。シンはアッシュに「強情っぱり!」と叫んで,英二の見送りに向かう。シンは良い意味で感情的で,良い意味で子供で,とにかく本当にいい奴だ。

シンに渡された英二からの封筒を開けるアッシュ。中身は航空券と手紙。英二はアッシュの事を信じ続けている。必ず来てくれると,必ずまた会えると。にしても英二,むっちゃ字がきれい。アッシュが「へんてこな英語を話す」と言っていたから,英語がペラペラというわけではないんだなと思ったけど,字はネイティブなのね。筆記体だったし。航空券と「僕は君を守らなけらばいけないと思った」というメッセージまで読んだアッシュは,泣きそうな顔になって空港へ駆け出す。

駆け出した時,不意に刺される。

静かに,そしてあっけなく。こういう終わり方は時々見るけど,本当に切ないよ。壮絶な戦いは生き抜いてきたのに,平穏の中の小さな棘には殺されてしまう。戦いの中で恨みを買いすぎた,とか。劇的でもなく凄惨でもなく,誰にも知られずにひっそりとした最期。

しかも,ラオかよおおおおおおおおおおおおおおお。お前,先週の俺の言葉返せええええええええええええええええええ。根は良い奴だろうからうんぬんかんぬん言っていたのに,何でシンが許してる相手を「シンのため・・・」とか言って刺すんだよおおおお!!この!!バカヤロオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

手から落ちた英二からの手紙を悲しげに見つめるアッシュ。ラオのことはきちんと射殺。「機械のように反応」・・・。でも,それでもいいよ。

今まで撃たれても刺されても死ななかったアッシュだけど,今回は瀕死の重傷・・・。なんでだよ・・・。今まではアドレナリン出ていたからとか気を張っていたから?燃え尽きてしまったのかな。今までの戦いで生命力削りすぎたか?本当もう何で・・・。いつもなら助かるでしょう?

最期の力を振り絞って図書館に戻り,血で汚れた英二の手紙を最後まで読む。

My soul is always with you.

アッシュの心も救われた・・・。全てが天に消えてしまっても,英二の魂が寄り添っていてくれる・・・。涙を流しながら空を見上げ,光に包まれていく。

場所は変わって,英二を見送るアレックスたち。ケイン・・・お前初登場時の強面はどうした。キャラ違うぞ。(※追記,見直したらケインじゃなくてアッシュの仲間の一人だったわ(笑)おかしいとは思ってたけど(笑))そしてシンの少し悲しげな優しい嘘・・・。

「アッシュが必ずまた会おうってさ」

シン・・・。あのな,ラオのやつがな・・・。英二も嘘だって分かっているかもな。というのも日本行きの航空券託したのに,「またアメリカ来いよ」っていう返答はちょっとおかしい。細かすぎ?→航空券の名義が「アッシュ・リンクス」ではなく戸籍上は死んでいる「アスラン・カーレンリース」になっていて,無効なチケットらしい。「アッシュ・リンクス」は通り名だと思っていたけど・・・というか戸籍上アッシュは存在しないんだっけか。

もうこの後は言葉にならない。英二・・・アッシュ・・・。病院での別れが最後だったんだね。「さよなら・・・」と「行け!!」・・・。

図書館で,眠るように死んだアッシュ。まるで幸せな夢を見ているように,穏やかな顔で。いいや,本当に幸せだったんだ。

"Catcher in the Rye"を読んでいれば,もっと気付けたこともあるのかもしれない。興味はあるけど,読んだことはない。今度読もう。サブタイ,作中に出てくる小説。サリンジャーヘミングウェイ

 

余韻が・・・。

番組ホームページの人物相関図で,アッシュのところが薄くなっていて,ああ死んでしまったんだな・・・と胸が苦しくなった。

 アッシュか英二のどちらかが死ぬ結末は一つの可能性として考えていたけど,悲しいものは悲しい。アッシュはあまりに生き急いでしまった。英二によってアッシュは救われると同時に,それが殺しの世界では弱点になってしまう,というのももどかしい。

 

英二の中でアッシュは生き続けるけど,二人はもう会うことはなくて。

忘れられない日々もいつか忘れていくだろう。

そして時が経ち年老いてボケてしまったはずなのに,ふとした時に何かを思い出したりして。

 

泣きたいのに涙腺かたいから涙は出ない。ため息がこぼれてボーっと脱力してしまうような気持ちです。会えなかったからこその味があると思う。心に来るものがある。

名作でした。はぁ・・・・・・。

 

p.s.

『光の庭』・・・?

BANANA FISH関連の作品を網羅したい。

DVDもほしいなぁ・・・。